第16回 気づかない安売りを止める方法
弱者が戦わずに勝つための価格設計チェックリスト
前回は、気づかない安売りが一番怖いという話を書いた。
今回は、それをどうやって止めるかを整理する。
最初に書いておくが、
これは 気合いで値上げしよう という話ではない。
価格は 感情 ではなく 設計 で決まる。
① 気づかない安売り セルフ診断
まず、自分が無意識に安売りしていないかを点検する。
次の項目に、いくつ当てはまるかを見てほしい。
1 価格の根拠を聞かれると 何となく と答えてしまう
2 他の人の値段を見て それより少し下 に合わせている
3 値上げする前に 売り方の工夫 を考えていない
4 安いですね と言われると 少し安心する
5 売れているのに 手元にお金が残らない
6 忙しいのに 利益が薄い感覚がある
7 利益が薄いので 別の小銭稼ぎを考え始めている
8 値上げすると お客さんに悪い と感じてしまう
9 嫌われないことを 価格判断の基準にしている
10 売り切るより 置いておけば売れる を優先している
ここで重要なのは、
安いこと自体が悪いのではないという点だ。
問題になるのは、
安くしている理由が 自分の消耗 になっているかどうか。
② 安売りを止める最短ルートは 比較軸を変えること
安売りが止まらない一番の原因は、
判断基準が 自分 ではなく 相手 になっていること。
弱者が強者と同じ土俵に立てば、
最後は体力勝負になる。
だから必要なのは 値上げ ではない。
戦場を変えることだ。
価格で比較される前に、
買う理由が先にある状態を作る。
選びやすい
失敗しにくい
買い方が分かりやすい
距離が近い
ここで効いてくるのが 認知負荷 という考え方だ。
人は、選ぶのが面倒になるほど
一番分かりやすい選択肢に流れる。
価格競争の一部は、
選ぶストレスに負けた結果でもある。
そしてこの現象は、飲食店でもよく起きる。
メニュー数の多い店に入って、結局いつもの定番しか頼まない。
本当は他にも美味しそうな料理があるのに、なぜか冒険しない。
これは好みの問題ではなく、選ぶのが面倒だからだ。
どれにするか悩む時間
失敗するかもしれない不安
選択した責任
こういった見えないコストを、人は無意識に避けている。
だからメニューが多い店ほど、定番だけが回り続ける。
農産物でも商品でも同じで、選択肢が多く基準が分かりにくいほど、
人は安全側に流れる。
つまり
安いから選ばれているのではなく
迷わせないから選ばれている。
人は どれにするか悩む時間 にもコストを感じている。
だから 迷わせないこと 自体が 値引き以上のサービス になる。
弱者は、価格を下げるのではなく
選びやすさを設計する。
これが 戦わない戦略 になる。
③ 価格は 3つの基準 で決める
価格を決めるときに、最低限外してはいけない基準がある。
基準A 粗利が残ること
売上ではなく 粗利 が残らなければ続かない。
忙しいのに残らない形は、長期では必ず破綻する。
基準B 再現できること 仕組み
人の手と根性に頼る価格は、どこかで限界が来る。
特殊な技術や その時の頑張り がないと成立しないものを
価格設定の前提にしてはいけない。
誰がやっても あるいは疲れていても
同じ品質で出せる状態 を基準にする。
基準C 一点突破できること
全部を良くしようとすると、必ず中途半端になる。
弱者は ひとつだけ勝ち筋を作る。
これが ランチェスターの一点集中 だ。
粗利
再現できること
一点突破
この3つを満たす価格だけが、
長く守れる価格になる。
④ 今日からできる 実務レベルの改善
最後に、すぐ動けることだけを書く。
1 値付けの理由を 固定する
この作物は この理由で この価格
と一言で説明できる形にする。
迷わなくなるだけで、利益は安定する。
2 手間を ひとつだけ減らす
価格を変えられないなら、
原価 自分の労力 を下げるしかない。
袋詰めを一回減らすだけで、
同じ価格でも 実質的な利益 は増える。
これが 守りの価格設計 だ。
袋詰め 運搬 仕分け 記録
どれか一つを軽くする。
価格を守る前に、体力を守る。
3 買う理由を 1行で言語化する
安いから ではなく
買いやすい 失敗しにくい 近い 新鮮
このどれかを一行で書く。
それが 比較されない設計 の種になる。
まとめ
気づかない安売りは、優しさから生まれることが多い。
しかし、優しさだけでは続かない。
弱者が勝つ方法は、体力勝負をしないこと。
価格は 感情 ではなく 設計 で守る。
自分はそう思う。

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