オンラインは“コミュニティ”ではない。
便利さの裏で起きていること。
前回までで、
農業者が持つべきリアルのコミュニティについて触れてきた。
そこで必ず出る疑問がある。
「オンラインで学んだり話したりしてるし、それじゃダメなの?」
結論から言うと、
オンラインはとても便利。
でも“コミュニティの代わり”にはならない。
役割が根本的に違うからだ。
ここでは、農業者がオンラインをどう扱うべきかを整理していく。
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1. オンラインは“情報の入口”。関係性の場ではない

オンラインは素晴らしい。
・動画で学べる
・SNSで人とつながれる
・Zoomで話せる
・必要な情報がすぐ手に入る
忙しい農業において、
この“いつでもアクセスできる”強みは本当に大きい。
ただし、オンラインで得られるのは
あくまで 情報・知識・アイデア が中心。
そこにあるのは
・空気
・温度
・沈黙
・間
・雑談
といった、
人間同士の“文脈”ではない。
農業者にとって、
判断を整えてくれるのはこの“文脈”のほうだ。
だからオンラインは代わりにならない。
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2. オンラインだけに頼ると“世界が狭くなる”

便利なはずのオンラインが、
逆に視野を狭めるケースがある。
理由はシンプルで、
自分の興味に合った情報だけが
アルゴリズムによって強化されていくから。
・似たような考え方の人
・自分に近い価値観
・自分が心地よい情報
・反対意見が少ない環境
気づかないうちに、
“正しさ”が偏った世界ができてしまう。
これは、
農業者の判断を狂わせるリスクがある。
現場では“正解は1つではない”のに、
オンラインは“1つの正解”だけを強調しやすい。
自然相手の仕事では、この偏りが致命傷になる。
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3. オンラインは「思考を広げる道具」として使う

オンラインは悪いわけではない。
むしろ使い方次第で大きな武器になる。
ただし目的を間違えてはいけない。
オンラインの役割は
「知る」「学ぶ」「広げる」 ここまで。
・判断する
・整える
・迷った時に立て直す
これはリアルのコミュニティが担う部分。
農業者にとって最適なのは、
リアル(判断) × オンライン(情報)
という組み合わせ。
オンラインは便利だからこそ、
“依存ではなく活用する”という姿勢が大切になる。
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第19話まとめ
・オンラインはコミュニティではなく“情報の入口”
・便利な反面、価値観が偏りやすい
・農業は文脈や空気が判断を支える
・オンラインだけでは視野が縮む
・正解は「リアルで整え、オンラインで広げる」


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