【新規就農シリーズ|第11話】

畑で柴犬の農家が耳を澄ませて土地の声を聞き、黒豆や小豆など“その土地に合う作物”が元気に育っている様子を描いたイラスト。背景にはレモンの鉢植えが趣味枠として置かれ、適地適作と土地に逆らわない農業の重要性を表現している。

土地に逆らうな。

目次

作れる作物は“場所”が決める。適地適作という話。

就農すると、多くの人がこう考えます。

「何を作ろうかな?」
「この作物やってみたいな」
「好きなものを作れたらいいな」

その気持ちはとても自然です。

でも、農業の現実はシンプルです。

■ 作れる作物は“土地が決める”。

■ 人の意思ではどうにもならない部分がある。

これは、私自身が何度も痛感してきたことでもあります。

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■ ① 土地には“性格”がある。作物はその性格に従うしかない

畑にはそれぞれ違う性質があります。

・土質
・水の抜け
・日照
・風
・冷え込み
・地形
・周囲の環境

これらが積み重なって、
その土地に「向く作物」「向かない作物」が決まります。

これは努力や熱意で覆るものではありません。

例えば、レモンや柑橘。(柚子などは除く)

■ 土地の寒さに耐えられない。

ただ、それだけの話です。

どれだけ大切に育てても、
土地との相性に勝つことはできない。

これが“適地適作”。

農業の基本であり、避けて通れない現実です。

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■ ② 就農した土地で“作るべき作物”は最初からだいたい決まっている

南丹市日吉なら──
黒豆、小豆、丹波の気候に合う野菜や果樹。

それはその地域が
長い時間をかけて蓄積してきた“答え”です。

この土地で実績が出て、
収量も品質も安定し、
ブランドとして全国に通用している。

正直に言うと──

■ 土地のブランドを活かすのが、最短で強くなる方法。

最初から正解が置いてあるゲームのようなものです。

これを無視して
自分の「好き」を優先すると、
何年やっても再現性が出ません。

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■ ③ 自分の「好き」は否定しなくてもいい。ただし“趣味枠”に置く

誤解しないでほしいのはここ。

■ 好きな作物を諦める必要はない。

■ ただし事業の“柱”にする必要もない。

私は今でも少量のレモンを育てています。
枯らすこともあります。

でも、それでいいんです。

理由は簡単。

■ 趣味枠・実験枠だから。

少量でやるから楽しいし、
心がワクワクする。

でも、経営とは完全に切り離しています。

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■ ④ 農業は「柱・サブ・趣味枠」の3構造で考えるとうまくいく

私が実際にやってみて
最もバランスが良かった考え方です。

■ ① 柱(メイン品目)

土地が最大限力を発揮する作物。
→ 経営の中心。設備・時間・労力を集中させる。

■ ② サブ(適地の範囲内の多品目)

柱ほどではないが土地に合っている作物。
→ 直売の安定化、リスク分散、売上の補強。

■ ③ 趣味・実験枠

好きな作物や新しい挑戦。
→ 心の栄養・将来の可能性を探る場所。

この3層を分けることで、
“間違った投資”“無理な挑戦”“意味のない消耗”が消えていく。

結果として──

■ 成果が出る場所に集中できる。

これだけで農業の難易度が一気に下がります。

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■ ⑤ 土地の声を聞くことが、農業のスタートライン

作物は「人が育てる」ようでいて、
実際は土地がほとんど決めています。

だからこそ、就農したての人ほど

・一年通して土地を観察する
・天気と作物の反応を記録する
・水の動きや風の癖を知る
・周りの畑が何を作っているかを見る

この“土地を見る目”を育てることが大切。

その目が育つと、
勝てる作物が自然と見えてきます。

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■ 第11話まとめ

  • 作れる作物は“土地が決める”
  • 土地に逆らうと永遠に伸びない
  • 好きな作物は趣味枠でOK
  • 土地のブランド(南丹なら黒豆・小豆)は最強の資源
  • 経営は「柱・サブ・趣味枠」の3構造が正解
  • 土地を読む力がつけば、農業の難易度は大きく下がる

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■ 次回予告(第12話)

**数年で稼ぎたい人はやめとけ。

農業は必ず儲かるが、“考えられる人”しか加速しない。**

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