性格と向き不向きから考える 続けるための農業設計
農業を続ける上で一番大事なのは、
技術でも、根性でも、覚悟でもない。
自分をどれだけ分かっているか。
ここだと思っている。
① 続かなくなる理由は 能力不足じゃない
多くの人は、
できなかったから
向いていなかったから
続かなかった
と思いがちだ。
でも実際は違う。
続かなくなる理由のほとんどは、
性格と作業が噛み合っていないだけ。
単純作業が苦手なのに
毎日同じ作業が続く作型を選ぶ。
細かい管理が苦手なのに
管理項目だらけの工程を抱える。
人と話すのは得意なのに
一人で黙々とやる作業ばかり増やす。
これを根性で埋めようとすると、
どこかで必ず歪む。
② 自己分析は 逃げじゃない
自己分析は、正直言って死ぬほどやった。
工夫もしたし、試行錯誤も散々してきた。
だから
やらない という選択は
あきらめでも、逃げでもない。
むしろ逆だ。
③ 率先してやることを 美としている
どの仕事でも
率先してやる。
誰よりも早くやる。
それを美だと思っている。
嫌な作業ほど後回しにせず、
前向きに取り組む。
逃げない。避けない。
だからこそ、
ストレス比重が大きい作業ほど、
どうすれば最短で
どうすれば楽に
どうすれば楽しくできるか
を本気で考える。
④ ストレスは 排除対象じゃなく 改善対象
ストレスがあるから やらない のではない。
ストレスがあるから 仕組みに落とす。
毎回疲れる
毎回イライラする
毎回集中力が切れる
そう感じた時点で、
それは気合いで続ける仕事ではない。
改善対象だ。
⑤ ルーティンが苦手でも 農業はできる
正直に言うと、
自分はルーティンが死ぬほど苦手だ。
同じ場所で
決まった作業を
決まった順番で
これが本当に苦痛で、
ストレスがハンパない。
農業にとっては、
致命傷になり得る特性だと思う。
だから
無理に克服しようとはしない。
仕組みでカバーする前提で設計している。
⑥ 得意な人に任せるのは 全然あり
ここに バイト を入れるのも一考。
得意な人にやってもらうのは、甘えでも逃げでもない。
バイトを入れる というと大ごとに聞こえるかもしれないが、
週に数時間 決まった作業だけ でもいい。
それだけで 判断疲れ が劇的に減ることがある。
これは人件費ではなく、自分のパフォーマンスを維持するための必要経費だと思っている。
苦手を我慢して続けるより、
得意を伸ばして全体最適を作る方が、強い。
⑦ 致命傷は 仕組みでカバーできる
弱点を無かったことにしない。
暴れない形に作り替える。
チェックリスト化して迷いを減らす
工程を削ってルーティン量を減らす
ルーティン部分はバイトに寄せる
機械で置き換える
予定を固定して考える回数を減らす
例えば、工程を削るなら
毎回量るのをやめて 決まった容器のすり切り一杯 にするだけでもいい。
予定を固定するなら
火曜日の午前中は必ず防除 と決めて 考える時間をなくす だけでもいい。
根性で続けるより、
仕組みで続ける方が、よほど強い。
⑧ 兵法と戦略と心理学で言うと こういう話
ここからは、同じ話を別の言語で言い直す。
自分はこういう裏付けがある方が腹落ちする。
1 孫子兵法 まずは勝ち方を決めてから戦う
孫子にはこうある。
勝兵は先ず勝ちて而る後に戦う
意味は、勝てる形を作ってから戦うということ。
農業で言えば、気合いで頑張ってから考えるのではなく、
続けられる形 つまり自分の特性に合う形を先に作る。
ルーティンが苦手なのに、ルーティンだらけの現場を組む。
これは最初から負け筋を踏んでいる。
勝ち筋を作るとは、苦手が暴れない設計にしてから走ること。
もう一つ、孫子の有名な一節。
戦わずして人の兵を屈するは 善の善なる者なり
戦わないは逃げではなく、最上の勝ち方。
自分の苦手と戦って消耗するくらいなら、
戦わない形 つまり仕組み化や役割分担で回す方が強い。
2 ランチェスター戦略 弱者は一点集中と局地戦
ランチェスターは雑に言うとこれ。
弱者は、
広く薄く戦わず、勝てる一点に集中する。
強者と同じ土俵に乗らない。
これを自己理解に当てると、
自分の得意に一点集中して、苦手は戦場から外す。
苦手を克服するより、苦手が影響しない配置にする。
得意なことに全力を注げる環境を作る。
これは戦略そのものだ。
3 行動心理学 認知負荷と判断疲れが人を壊す
行動心理学では、人は意思が弱いから崩れるのではなく、
仕組みが悪いから崩れると見る。
ポイントはこの2つ。
認知負荷 選ぶこと 考えること が多いほど疲れる
判断疲れ 決断の回数が増えるほど、判断が雑になる
農業は毎日例外が起きる。
だから意識して減らさないと、
判断回数が増えすぎて心が削れる。
だから
予定を固定する
チェックリスト化する
工程を減らす
バイトに寄せる
機械で置き換える
こういう設計が効く。
これは気持ちの問題ではなく、人間の仕様の話だと思っている。
参考 自分の特性整理 メリット デメリット
メリット
- 仕組み作りが得意 ゼロから形にする 立ち上げが強い
- 課題発見が早い 詰まりを見抜くのが速い
- 改善思考が強い ストレス作業ほど最短ルートを考える
- 嫌な作業ほど前倒しで片付けられる
- 投資判断ができる 機械や環境に投資して時間を買える
- 戦略思考が強い 比較されない戦場を選べる
- 学習と吸収が速い 試して修正するスピードが早い
- 言語化が得意 思想と実務を文章に落とせる
- 長期視点で信用を重視できる
- 意思決定と責任を引き受けられる
デメリット
- ルーティン作業が極端に苦手 同じ作業の反復が強ストレス
- 毎日の細かい記録や定常作業で消耗しやすい
- 単純作業を長時間続けると集中力が落ちる
- 割り込みが多いと判断疲れを起こしやすい
- 真面目に前倒しする分 反動で一気に疲れが出る
- 仕組みが未完成な段階では不安定になりやすい
- 苦手作業を自分で抱えるとストレスが跳ね上がる
- 空気を読みすぎて疲弊する場面がある
- 例外対応が続くと消耗が加速する
補足
だから自分は、
得意なことに全力を注げる環境を作っている。
苦手な作業は
仕組み
機械
役割分担
で薄める。
得意な人に任せる。
バイトを入れる。
それは甘えではなく、
長く続けるための経営設計だと思っている。
まとめ
自分を知ることは、甘えじゃない。
長く続けるための、立派な判断だ。
あなたの性格は変えなくていい。
変えるのは、仕事のやり方 仕組み だけでいい。
孫子で言うなら 勝ってから戦う。
ランチェスターで言うなら 一点集中。
行動心理学で言うなら 判断疲れを減らす設計。
そうやって作った仕事は、
ちゃんと続く。
自分はそう思う。

コメント