自分がやった方が早い でもやっちゃダメ
うちは、自分と他に社員が4人いる。
高校生のバイトも、スポットで来てくれている。
だから、今日の話は
バイト活用の話というより、役割分担の話だ。
チームがいても、
結局、経営者が全部やり始めたら現場は回らない。
誰がやるか
どこまでやるか
どこから手を出さないか
その線引きを、どう作るかを書いていく。
孫子兵法・ランチェスター・行動心理学で裏付ける
感覚的には分かっている。
自分がやった方が早い。
でも、やってはいけない。
この違和感は、昔から理論として整理されている。
① 孫子兵法
勝つ前に戦うな という話
孫子兵法に、こうある。
勝兵は先ず勝ちて而る後に戦う
敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む
意味はこう。
勝てる形を作ってから動くのが勝者。
動きながら勝ちを探すのが敗者。
バイトや役割分担で言えば、
自分が全部できる状態のまま
人を入れて
現場で調整しながら回す
これは「先に戦っている」状態。
逆に、
判断を抜き
作業を切り
任せる形を作ってから
自分は手を出さない
これは「先に勝っている」状態。
さらに有名な一節。
戦わずして人の兵を屈するは 善の善なる者なり
戦わない=逃げではない。
最上の勝ち方。
自分の苦手と戦わず、
仕組みで無力化する。
教えるストレスとも戦わない。
これは、兵法的には正解。
② ランチェスター戦略
弱者は 自分が動くと負ける
ランチェスター戦略の基本はこれ。
強者は
・広く
・同時に
・数で戦える
弱者は
・一点集中
・局地戦
・役割限定
経営者がプレーヤーになると、
弱者が一番やってはいけないことをやっている。
なぜなら、
・設計
・判断
・改善
・育成
という一点集中すべき仕事から外れて、
作業という広い戦場に出てしまうから。
弱者の経営者がやるべきは、
自分が一番価値を出せる一点に張り付くこと。
作業は任せる。
判断は集約する。
改善は自分がやる。
これは甘えではなく、
ランチェスター的には定石。
③ 行動心理学
判断疲れと 観察不能の罠
行動心理学では、人は
・判断回数が増えるほど
・疲れるほど
意思決定の質が落ちることが分かっている。
これを 判断疲れ(decision fatigue) という。
経営者がプレーヤーになると、
作業しながら
判断しながら
教えながら
常に意思決定を消費する。
その状態では、
・人の良い行動に気づけない
・改善点を冷静に見られない
・褒める余裕がなくなる
つまり、
見るべきものが見えなくなる。
だから経営者は、
あえて手を出さず、
時間を空けて、
観察する側に立つ必要がある。
これは精神論ではなく、
人間の脳の仕様。
この3つを 現場に落とすと
・自分がやった方が早い
→ でもやらない
・助っ人として入る
→ 常態化させない
・任せる
→ 見る側に回る
という判断になる。
自分がプレーヤーになると、
現場は止まる。
人は育たない。
仕組みも育たない。
実践 ① 任せる作業は 判断がいらないところから
最初に任せるのは、考えなくていい作業。
判断が入る作業から渡すと、結局 自分が呼ばれて詰む。
基準はこれ。
手順が決まっている
毎回同じ
ミスしても致命傷にならない
終わりが数字で決まる
この条件を満たす作業から切る。
これだけで現場はかなり安定する。
実践 ② 任せ方は 1人 1作業
最初から何でも任せない。
1人に1作業だけ。
責任範囲を増やすほど、教える側も受ける側も崩れる。
まずは
袋詰めだけ
洗いだけ
運搬だけ
みたいに単機能で回す。
出来るようになったら、横に広げる。
実践 ③ 自分が手を出したくなったら ルールを決める
自分がやった方が早い。
でもやらない。
そのために、ルールを決める。
助っ人として入るのは
緊急時だけ
締切がある時だけ
危険がある時だけ
それ以外は、途中で手を出さない。
手を出したくなったら、代わりに
どこで詰まったか
何が曖昧だったか
をメモして、仕組みに直す。
仕組み作りにかけたリソースは絶対無駄にならない。
まとめとして
孫子で言えば
勝ってから戦う。
ランチェスターで言えば
一点集中。
行動心理学で言えば
判断疲れを避ける。
だから
自分がやった方が早くても、
あえてやらない。
それが
バイト・役割分担の
一番大事な実践だ。
自分はそう思う。

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