第14回|何度でも、の前に。再起不能になる前の判断基準

農業の作業場で、残りHPと引き出しをノートで確認しながら次の一手を考える農家。再起不能になる前に戦略的な判断を行う姿を表している。
目次

何度でも、の前に。再起不能になる前の判断基準

ドリカムに「何度でも」という歌がある。
あれは好き。名曲。嘘じゃないと思っている。

農業も、まさにそうだ。
次、あと一回でうまくいくかもしれない。
最後の一手で流れが変わることは、実際にある。

だから私は、簡単にはやめない。
ただし、ここが重要で、
何度でもを無条件に信じるほど、楽観的でもない。


■ 問題は失敗じゃない。再起不能かどうかだ

農業において、失敗は避けられない。
それ自体は問題じゃない。

本当に怖いのは、
再起不能な泥沼に落ちることだ。

  • 資金が尽きる
  • 体が壊れる
  • 信用を失う
  • 家庭が回らなくなる

ここまで行くと、
成功するとかしないとか以前の話になる。

だから私が一番気にしているのは、
「失敗するかどうか」じゃない。
失敗しても、次に打てるかどうかだ。


■ 判断基準は「残りHP」と「引き出し」

続けるかどうかの判断基準は、かなりシンプルだ。

自分の引き出しやアイデアが残っているうちは、やる。

ここで言う引き出しは、気合や根性じゃない。

  • 次に試したい具体策がある
  • 改善案が言語化できている
  • 誰かに聞けば突破できそうな余地がある
  • やり方を変える選択肢が見えている

こういう「次の一手」が残っている状態だ。

一方で、
万策尽きている状態というのは、だいたい分かる。

  • 次の一手が「気合」「根性」しかない
  • 同じ失敗を形だけ変えて繰り返している
  • 判断が遅れ、先延ばしが増える
  • 管理が雑になり、触るのが憂うつになる
  • 相談しても、何を聞けばいいか分からない

この状態で時間を使うのは、正直もったいない。


■ 行動心理学的に一番危ない状態

行動心理学で見ると、
一番危ないのはこの状態だ。

  • 次はうまくいく“気がする”
  • ここまで来たから引けない
  • やめたら負けな気がする

これは、
サンクコスト効果、正常性バイアス、楽観バイアスが
一気に重なっている状態。

「何度でも」という言葉が、
希望ではなく呪いに変わる瞬間でもある。

だから私は、
希望だけで続ける判断はしない。


■ 戦略の話をすると、これは撤退じゃない

この判断は、撤退ではない。
継戦のための判断だ。

戦略の世界では、

  • 勝てるかどうかより
  • 戦い続けられるかどうか

の方が重要だ。

残りHPがある。
引き出しも残っている。

この条件が揃っているなら、
「あと一回」を信じる価値はある。

逆に、
HPが削れきり、引き出しも空なのに続けるのは、
戦略でも努力でもない。


■ 得意な方に時間を使うのは逃げじゃない

苦手なことに張り付いて、

  • いつか慣れる
  • そのうち何とかなる

と考えるのは、農業ではコスパが悪い。

得意な方に時間を使えば、

  • 判断が早い
  • 精度が上がる
  • 作業が軽い
  • 結果が出やすい

そして余った時間と体力で、
必要な部分だけ補えばいい。

これは逃げじゃない。
合理的な資源配分だ。


■ まとめ

「何度でも」は、確かに真理だ。
でも、それを信じていい条件がある。

  • 残りHPがあること
  • 引き出し(次の一手)が残っていること
  • 再起不能ラインを越えていないこと

この条件が揃っているなら、
あと一回を信じていい。

万策尽きた状態で使う時間は、
得意な方に回した方が得だ。

失敗しないためじゃない。
次も戦える自分でいるための判断

それが、私の基準だ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次