視野を広げるコミュニティ。
“基盤の外側”を持つという戦略。
第17話では、
農業者が最低限持つべき“基盤コミュニティ”を整理した。
・家庭
・同業者
・地域
この3つが欠けると生活も仕事も成り立たない。
しかし、この3つだけに囲まれて生活すると、
価値観は静かに固まり、判断は内向きになっていく。
そこで必要になるのが、
“基盤の外側にあるコミュニティ”。
ここでは、農業者が視野を広げ続けるために
最低限持っておきたい3つを整理する。
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1. 異業種コミュニティ(価値観を揺さぶる場所)

農業以外の世界には、
自分では思いつかない“別の正解”がある。
・考え方のスピード
・お金の使い方
・仕組みの作り方
・働き方の発想
・物事の優先順位
異業種の人と話すと、
「自分の当たり前」は当たり前ではなかったと気づく。
逆に、農業の常識が相手にとっては斬新だったりもする。
こうした“価値観の揺さぶり”が
視野を固定させない最大のポイント。
農業経営者にとって、
異業種コミュニティは 「発想を広げる装置」 になる。
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2. 趣味・遊びのコミュニティ(心の余白をつくる場所)

農業は自然と向き合う仕事であり、
精神の消耗にも気づきにくい。
趣味や遊びのコミュニティは、
仕事とも家庭とも地域とも違う場所に
“自分をいったん戻す役割”がある。
・評価されない
・緊張しない
・成果を求めなくていい
・ただ好きなだけで存在できる
この“余白”があることで、
畑に戻った時の集中力や判断力が変わる。
心がリセットされる場所は、
実は経営の持続性にとって極めて重要。
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3. 緩いつながり(雑談・偶然・空気)のコミュニティ

コミュニティと聞くと
「しっかり交流する場」をイメージしがちだが、
農業者に一番効くのはむしろ“緩いつながり”だったりする。
・喫茶店
・ジム
・温泉
・行きつけの店
・道の駅
そこにいる人同士が勝手に話していて、
自分はただその場にいるだけ。
でも、その“どうでもいい会話”こそが
・感覚を広げ
・視点を動かし
・思考を緩ませ
・アイデアの素になる
オンラインでは絶対に得られない種類の刺激だ。
これは騒音ではなく、
思考が固まらないための “空気のコミュニティ” と言える。
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■ 第18話まとめ
・基盤3つだけでは視野が固まる
・異業種は発想を広げる装置
・趣味コミュニティは心の余白
・緩いつながりは思考を緩ませる
・コミュニティは“深さ”より“種類”が重要
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■ 次回予告(第19話)
次回は、
“オンラインはコミュニティではない”
というテーマで、
リアルとオンラインの決定的な違いを深掘りする。
・なぜオンラインは便利でも偏るのか
・リアルの代替にならない理由
・農業者がオンラインを使いこなすための基準
今後の働き方に関係する、大切な回になる。
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