第6回|農業はもっと軽やかでいい──稼ぐ・休む・笑うを両立する働き方の話

未来へ続く畑の道をイメージしたビジュアルに「軽やかに続ける農業へ。」というテキストが添えられたアイキャッチ画像

農業の後継者不足は「若者がいない」だけでは語れません。3K・儲からない・根性論・仕組みの欠如。これらの積み重ねが、長く続けることを難しくしてきました。コロン’sファームが実践する“軽やかに働く農業”とは何か。経営の継承、機械化の本質、PDCAによる仕組みづくりをまとめた回です。

農業はもっと軽やかでいい──
後継者不足の本質と、未来をつくる働き方の話

「後継者不足が深刻だ」と最近よく見かける。
でも、それは昨日今日始まった話ではない。

名店と呼ばれたレストラン。
街の看板だった食堂や定食屋。
長く続いてきた八百屋も魚屋も精肉店も。

後継者がいない。
歳をとった。
病気をした。

そんな理由で惜しまれながら閉店してきた。

これは農業に限った話じゃない。
ただ、農業には農業ならではの“重さ”がある。

目次

■ 農業を苦しめる「3K+儲からない」は間違っていない

キツい。
汚い。
危険。
そして「儲からない」。

この古い価値観を、農家自身が長年肯定してきた歴史がある。

だから私はずっと、農業は
“聖域なき構造改革が必要な業界”
だと思ってきた。

自分がこの世界に夢や希望を持って飛び込んだのは、
この構造を壊して“続けられる農業”を作りたかったから。

「息子が継ぐのが当然」なんて時代はとっくに終わっている。
そして、親として
『こんなしんどい仕事を子どもに継がせられない』
と思う気持ちも痛いほど分かる。

■ 職人である前に、業として成立させる責任

農業は技術でもあるけれど、
その前に“業(ビジネス)”である。

自分の体を壊したら、事業は即ストップする。
自分が止まれば、全部止まる。
それが長年続いてきた農業の構造。

でもそれでは、次の世代が継げるはずがない。

農家の責任は
「死ぬまで現場に立つこと」ではなく、
継げる土台を残すこと だと思っている。

その認識の欠如こそ、今の後継者不足を生んでいる。

■ 「閉業するしかない」は本当か?

体を壊した。
気力が尽きた。
続けられない。

「仕方ない、閉めるしかない」と聞くことは多い。

でも本当にそれしか道がないのだろうか?

やり方は変えられる。
働き方は変えられる。
時間の使い方も変えられる。

私は“楽しく、軽く、継げる農業”は作れると信じている。
それを現場から証明したい。

■ コロン’sファームが次世代と一緒にやっていること
──それは「教育」ではなく「経営の継承」

息子たちは手伝ってくれている。
でも、それは単なる作業の手伝いではない。

社員含め全員で“考える”をやっている。

計画を立てて、
やってみて、
結果を見て、
改善する。

いわゆるPDCAだけれど、
農業に落とすとこんな形になる。

■ PDCAとは

P(Plan):来年の作付け・動線・段取りを考える
D(Do):実際に畑でやってみる
C(Check):成功・失敗・無駄を振り返る
A(Act):改善点を反映して次の形に進化させる

これを回し続けると、
畑は強くなり、
無駄は減り、
しんどさは下がる。

そして気づく。

PDCAは“農作業の説明書”ではなく、
“継承できる農業”を作るフレームだということ。

子どもに「技術」だけ渡しても継げない。
継げるのは、“考え方と仕組み”。

私が息子たちに渡したいのはそこ。
これは教育ではなく、経営そのものの継承。

■ スマート農業は「機械化」じゃない
──本質は“根性からの脱却”のための投資

今、スマート農業という言葉が独り歩きしている。
ドローン、GPSトラクター、遠隔操作、IT管理……。

もちろん正しいし、私も欲しい。

でも、本質はそこじゃない。

メーカーの販促で広まっている側面もあるし、
農家が減って農機が売れないから1台の価格が上がる。
メーカー自身もそれを認めている。

私が言いたいのはここ。

本質は「楽をするため」ではなく、
“続けるために根性論を捨てる”ための機械化。

作業負担を減らす。
生産量を増やす。
収入を安定させる。
雇用を生む余力を作る。

これは「甘え」ではなく、
“残すための戦略”だと思っている。

■ 「機械ばっかり買って」と笑われるたびに思う

機械を導入するたびに言われる。
実際、私が機械をよく買うのは事実だ。

「また買うんか」
「贅沢やな」
「金持ちやな」
「そんなに要らんやろ」
「若いのに投資しすぎや」

影で言われるのも知っている。
でも笑って返すだけ。

なぜなら、理解される必要はないから。
価値観を押しつける気もない。

私がやっているのは“今”のためじゃなく、
“続ける未来への投資”だから。

本当の危機は、ニュースに出る派手な話ではなく、
こういう地味な現場構造の中に潜んでいる。

■ 若さは武器。大人は“丸投げする勇気”が武器。

昔、私は何度も「まだ早い」と言われてきた。
でも振り返れば、若さこそ最大の武器だった。

勢い、吸収力、体力、直感。
経験の不足は、やりながら埋めればいい。

大人の役割は、若さの武器の研ぎ方を教えること。
そしてもうひとつ。
“丸ごと任せる勇気”を持つこと。

これは本当に難しい。
でも継承には絶対に必要な武器。

■ 農業はもっと軽やかでいい
──続けられる農業へ

続けられる仕組みを作ること。
考え方を渡すこと。
現場がしんどくならない工夫を積み重ねること。
次の世代が笑って働ける環境を整えること。

農業はもっと自由でいい。
もっと楽しくていい。
もっと賢くていい。

汗だくで根性で倒れながらやらなくても、
農業はちゃんと成り立つ。

その姿を、コロン’sファームから証明していきたい。

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