冬のほうれん草、美味しいですよね。
でも下処理のとき、根元のピンク〜赤い部分、バッサリ切り落としていませんか?
農家からすると、そこが一番おいしいところです。
捨てるのは、ちょっとだけもったいないです。
今日は、冬のほうれん草が甘くなる「理屈」と、赤い根っこの正体、そして長持ち保存の話です。
① 結論:冬のほうれん草は「自分を守るため」に甘くなる(寒締め)

冬のほうれん草は、夏物に比べて甘みが段違いです。
これには明確な理由があります。
凍らないための自己防衛です。
水分は0℃で凍りますが、砂糖水は0℃でも凍りにくい。
ほうれん草は寒さに当たると、体内の水分が凍らないように、糖分(甘み)を蓄えて濃度を上げます。
これを**寒締め(かんじめ)**と言います。
だから、寒い畑で育ったほうれん草ほど、驚くほど甘くなるんです。
② 赤い根っこは「甘み」と“うまい成分”が詰まっている

根元の赤い部分、土汚れが気になって捨てがちですが、ここには**ミネラル(マンガンなど)**や色素成分が含まれます。
そして何より、甘みを感じやすい部分です。
ポイントは、切り落とす前に“土だけ落とす”こと。
洗い方(簡単)
- 根元に十字の切り込みを入れる
- 水に当てて、広げながら振り洗いする
これで、土は意外ときれいに落ちます。
③ 家庭の現実解保存:乾燥を防いで「立てる」

ほうれん草は寒さに強め(冷蔵OK)ですが、乾燥に弱いです。
カサカサに乾くと、食感が戻りにくくなります。
保存の3ステップ
- 濡らしたキッチンペーパーで「根元」だけ包む(葉は包みすぎない)
- ポリ袋に入れて、口は軽く閉じる
- 冷蔵庫で「立てて」保存(葉が潰れにくい)
※ゆでて保存するなら:
冷蔵より冷凍の方が安定します。硬めに茹でて水気を絞り、小分け冷凍が扱いやすいです。
④ 目利き:買う時点で半分決まる

良いほうれん草
- 葉の色が濃く、厚みがある(冬は縮れている方が甘い傾向)
- 根元がほんのり赤い
- 茎がしっかりしている
避けたいほうれん草
- 葉が黄色く変色している
- 葉先が乾いてカサカサ
- 袋の中に水が溜まってヌルついている
今日の「農家の食べ方」(5分)

一番甘い「根っこ」を主役にする食べ方です。
おひたしじゃなく、バターでいきます。
【ほうれん草の“根っこ”バターソテー】

- 材料:ほうれん草(根元メイン)、バター、ベーコン、塩こしょう
- 作り方
- 根元に十字の切り込みを入れてよく洗い、土を落とす。
- フライパンにバターを入れ、ベーコンと根元を中火でじっくり焼く。
- 根元に火が通ったら、葉も入れてサッと炒め合わせる。
- 塩こしょうで味を調える。
- コロンのひとこと
「じっくり焼いた根っこ、意外なくらい甘いです。まず一口、根っこからいってみてください。」
まとめ
冬のほうれん草は、寒さに耐えて甘くなる(寒締め)。
そして、その甘みは赤い根っこにも詰まっています。
捨てずに洗って、バターで焼く。これが農家の冬の楽しみです。
次回予告(第11回)
次回は キャベツ。

「外葉は捨てる?」「芯は残す?」「切ったら黒ずむ…」
冷蔵庫で長持ちさせる“家庭の正解”を、農家の理屈で短く解説します。


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