【第5回】しいたけは「パックのまま冷蔵庫」が一番ダメ|ヌメり防止は“水滴”を切るだけ

森の中で、柴犬キャラとしいたけキャラが並ぶ「農家が教える保存の知恵【第5回】しいたけ編」のアイキャッチ画像

しいたけ、買ってきたら「パックのまま冷蔵庫」になっていませんか。
これ、地味にやりがちな“失敗ルート”です。

せっかく冷蔵庫に入れたのに、気づいたら傘が黒ずんでヌメッとしている。
これ、だいたい “同じ原因” で起きています。

農家からすると、しいたけ保存で一番大事なのは「温度」ではありません。
まずは 「あるもの」を作らないこと
これだけで、日持ちが劇的に変わります。


① 結論:敵は「乾燥」よりも「水滴(結露)」

文献では、きのこ類は 0〜1℃・高湿(目安95%) だと日持ちしやすいとされています。
でも、家庭の冷蔵庫で失敗する原因はだいたいこれです。

「冷えているのに、パック内で結露して濡れている」

※理屈:
きのこは野菜の中でも「呼吸」が激しいです。
パックのままだと自分の熱で蒸れて、結露(水滴)が出ます。
しいたけはこの「水滴」がつくと、一気に細菌が繁殖してヌメりが出ます。

だから家庭では、“理想の湿度”を作るより、水滴を作らない設計 が正解です。


② やりがちNG:パック放置・ガチ密閉・洗う

まず、この3つだけ避けてください。

  1. パックのまま放置(温度差と呼吸熱で結露 → ヌメり直行)
  2. ビニール袋で密封(水滴+空気がこもって窒息)
  3. 先に洗う(水分が残ってカビの温床に。きのこは洗わないのが基本)

しいたけは常温だと足が早い(暖かい時期は特に)ので、冷蔵は正解。
ただし “濡れない冷蔵” が条件です。


③ 家庭の“現実解”保存:3点セット(これだけ)

しいたけは「裸」も嫌いますが、「服の着せすぎ(密閉)」も嫌います。
正解はこの3ステップ。

  1. パックから出す(まず結露ルートを切る)
  2. キッチンペーパー or 紙袋に入れる(余分な水分だけ吸う)
  3. その上でポリ袋に入れて、口は軽く閉じる(乾燥しすぎを防ぐ)

置き場所:
できれば 冷蔵室の奥(0℃寄り)
野菜室でもOKですが、たまにペーパーが濡れていないか確認して、湿っていたら交換してあげると長持ちします。


④ 目利き:買う時点で勝負が決まる

良いしいたけ

  • 傘がふっくら、表面が乾いていてツヤがある
  • 裏(ヒダ)が白〜薄いクリーム色でキレイ
  • 軸が太く短い(=栄養が詰まっている)

避けたいしいたけ

  • 傘や裏が濡れている/ぬめり気がある
  • 裏が黒ずんでいる、酸っぱい匂いがする
  • 全体に開ききって薄い

今日の「農家の食べ方」(5分)

保存に成功したしいたけは、変な臭みがなく「香り」が立ちます。
今回は、傘に溜まる 「旨味汁(ジュース)」 を余さず飲む食べ方です。

【しいたけの“旨味汁”ポン酢】

材料

  • しいたけ
  • ポン酢
  • かつお節
  • (あれば)ごま油 1滴

作り方

  1. しいたけは洗わず、ペーパーで拭く(石づきは取る)
  2. ヒダ(裏)を上にして 耐熱皿に並べる
  3. ふんわりラップでレンチン(600Wで1分半〜2分)
  4. 傘に浮いてきた「汁」をこぼさないように、ポン酢とかつお節を乗せる

コロンのひとこと
「この傘に溜まった汁こそ、天然の出汁です。最後にごま油を1滴たらすと、香りが爆発します。」

[詳しくはこちら(直売所・オンラインショップへのリンク)]


まとめ

しいたけは、家庭だと温度の前に “水滴を作らない” が最優先。
パックから出す → 紙で吸う → 軽く袋。
これでヌメり負けが減ります。


次回予告(第6回)

次回は 玉ねぎ
「芽が出る」「柔らかくなる」「カビる」を、温度と湿度でスパッと片付けます。乞うご期待。

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