直売所に立っていると、よくこんな声を聞きます。
「白菜、丸ごと1個は使い切れない」
「腐らせるのが怖いから、割高でも1/4カットを買ってる」
でも、農家から言わせてもらうと……それ、めちゃくちゃもったいないです。
白菜はカットした瞬間から劣化が早まるので、実は「丸ごと」の方が長持ちします。
今日は、白菜を美味しく食べるための保存のお話。
ポイントはレシピじゃなくて、温度と湿度です。
① 結論:白菜の最適は「0〜2℃」+「高湿」

まず結論から。白菜は冬野菜なので、寒い方が落ち着きます。
- 白菜の推奨貯蔵条件:おおむね 0℃前後、湿度95〜100%
- 冷蔵庫の野菜室:だいたい 3〜8℃ くらいになりがちで、しかも乾きやすい
白菜は収穫後も生きていて、呼吸しています。
温度が上がるほど呼吸が増えて、自分の糖分や水分を消費しやすくなります。
資料によっては、0℃と比べて5℃では呼吸量が倍近くになるというデータもあります。
つまり、野菜室は「冷えているようで、白菜には意外と暑い」。
このズレが、シナシナや味落ちの原因になります。
② 冬は「冷蔵庫より外」が強い日がある

だから冬場(目安:12〜2月)なら、場所によっては冷蔵庫より外の方が条件が合います。
おすすめはこの辺です。
- 暖房の効いていない玄関
- 北側のベランダ
- ガレージ、物置
狙いはシンプルで、0〜5℃くらいの冷暗所。
ここに置けると、白菜は本当に落ち着きます。
※注意:氷点下が続く地域や、外気で凍りそうな場所はNGです。
「凍るかも」と思ったら迷わず野菜室に避難させてください。
③ 農家直伝:白菜を長持ちさせる3ステップ

買ってきたら、これだけやってください。
最初の1分で、白菜の寿命が変わります。
1)芯(成長点)を止める
- 芯に爪楊枝を2〜3本刺す
もしくは - 根元(芯のあたり)に十字に浅く切れ目を入れる
(深くやりすぎないのがコツ)
2)新聞紙で包む(乾燥を防ぐ)
- 新聞紙がなければ、キッチンペーパーでもOK
- 乾燥すると一気に弱るので、ここは大事です
3)立てて置く(畑と同じ向き)
- 転がさない
- 壁に立てかけて、畑にいた姿勢に近づける
この「温度(0〜2℃寄り)+包む+立てる」が揃うと、
丸ごと1個でも3週間〜1ヶ月くらい狙えます(環境次第)。
④ 農家の食べ方:火を使わない「無限・塩昆布白菜」

保存が分かれば、あとは食べ切るだけ。
我が家で出荷作業の合間によく食べる、超ラクなやつです。包丁いりません。
使う部位:内側の黄色い部分(甘くて柔らかい)
※ここから食べ始めると、残りも扱いやすいです。
材料
- 白菜:好きなだけ
- 塩昆布:ひとつかみ
- ごま油:たらっと
作り方
- 白菜を手でちぎって袋へ
- 塩昆布とごま油を入れる
- 袋の上からモミモミ → 10分放置で完成
コロンのひとこと
手でちぎると断面がガタガタになるので、味が入りやすいです。
余ったら、ごはんに乗せても、お茶漬けでも、お酒のアテでも最高です。
[詳しくはこちら(直売所へ・オンラインショップへ)]
まとめ(これだけ覚えて)
- 白菜は 0〜2℃+高湿 が基本
- 冬は場所によって 外(冷暗所)が勝つ
- 芯止め・包む・立てる の3点で寿命が伸びる
次回予告:大根編

次回は 「大根」 いきます。
葉っぱを付けたままにすると何が起きるのか、上・真ん中・先で味が違う理由、そして腐らせない保存のコツ。
“部位で使い分けるだけで、料理がラクになる” 大根の知恵です。

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